
山田洋次監督。 昭和15年(1940)の東京。 戦争に反対を唱える父(坂東三津五郎) が囚われの身となり、残された母(吉永小百合) と幼い二人の娘が、周囲の優しさに支えられ、明るく懸命に生きる姿を描く。
直接的で 残酷な 戦争の描写はないのに 反戦への思いが静かに伝わってきます。
古い日本家屋と 音楽を聴いただけで 冒頭から すぅ~っと映画の世界に溶け込めたのは さすが山田監督の世界だなぁ、と思いました。
ただ 途中は なかば 冗長に思えたのは 私の世代による体験のなさから 致し方なかったのかもしれません。 父親が囚われてから、家賃3ヶ月分貯めていたのはどうなったのだろう、とか、母べえ が病気になった後 しばらくはどうやりくりしたのだろうか 等、 女三人で苦労している生活のリアリティに欠けるような気がしました。
とはいうものの 最後の20分くらいはずっと 涙、涙・・・で 映画館で むせび泣きそうになって困りました。 静かな反戦映画は 原爆詩の朗読活動を通じて平和の尊さを訴えてきた 吉永小百合さんの思いと通じるところがある気がします。
●母べえ● 監督: 山田洋次 主演: 吉永小百合 浅野忠信 檀れい 志田未来 佐藤未来 笑福亭鶴瓶