
今日はNHK衛星で 「道」 と 「カサブランカ」 が放映していました。 名画ファンにとっては 宝物のような作品を1日で 2つも見てしまい、名作を前に いきなり大きな宿題を抱えたような気持ちです。 明日は 「アラバマ物語」 がありますし、しばらく 更新の話題には困らなそうです。
冒頭、ニーノ・ロータの名曲を耳にした瞬間に 初めてこの映画をみたときの感動とやるせなさが 胸にこみあげてきました。 フェデリコ・フェリーニの名作は数あれど 私にとっては 「道」がベストです。 ストーリーは 省略させていただいて・・・
大道芸人のザンパノが 人間の獣性だとしたら、汚れをしらない天使のようなジェルソミーナ。 道化師のメイクの下に いつも泣き顔を隠しているような ジュリエッタ・マシーナの ペーソスに酔わされます。 チャップリンをも思わせるマシーナの演技力あっての 「道」。
「私なんてなんの役にもたたない」 と涙くむジェルソミーナに 綱渡りの男がかける言葉。
「不要なものなんて この世にひとつもない」 「だれでも 何かの役にたっている」・・
青春時代に特有の 劣等感や無力感を感じた学生時代に、この映画に出会い励まされた場面。。 いまでも 道端の石ころを見ると ふっと心に浮かんでくる 忘れ得ない台詞です。 役に立たないと泣いたジェルソミーナの姿が 遠く東洋の一少女を勇気づけました。
精神をわずらい死んでいったジェルソミーナが哀れですが、心をかけている相手に優しい言葉一つかけられず 暴力をふるうことしかできなかったザンパノも また哀れ。 ジェルソミーナが死んだときいて 「おれはもうひとりぼっちだ」 と 号泣する彼の孤独に涙しました。
● 道 ● La Strada イタリア 1954 監督: フェデリコ・フェリーニ 音楽: ニーノ・ロータ 出演; ジュリエッタ・マシーナ アンソニー・クイン リチャード・ベースハート